aiko「ココア」について本気出して考えてみた

こんばんは、はるです。

 

大変ご無沙汰しておりました。

あまりにも更新があいたので、飽きたか死んだかと思われていたのでは…

 

ちょっと学校と課外活動諸々が忙しすぎて、

ブログを書きたい気持ちだけが悶々としておりました。

 

 

さて今回はシリーズ第4弾

aikoさんの「ココア」について本気出しました。

 

もはや説明なんていらないくらい大人気のシンガーソングライターaikoさん。

かわいらしい容姿と元気いっぱいに歌う姿が魅力的ですね。

1975年生まれの43歳(2019年2月現在)なんて信じられないです…

 

「ココア」という曲は、

2011年発売メジャー9作目のシングル「おやすみなさい」のカップリングです。

それゆえ、「聴いたことないわーー!!!」って方も多いかと。

 

いや、一度黙って聴いてみてください。

 

好みは分かれるかもしれませんが

刺さるひとにはめっちゃ刺さる曲です。

 

 

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ココア/aiko

詩・曲 AIKO

 

 

こんな時言葉が邪魔だったりする 伝えたい事たくさんあるのに

目を見るのも今はすごく恥ずかしい

見ないで…全部ばれてしまうから

 

心の底を正直にあなたにいくつ言えるかな?

 

内緒でキスしよう 分かってるね

後戻りはできないよ 絶対秘密よ

2人のキスしよう 少し苦しい

後戻りは出来ないよ 一生秘密よ

 

ぶつかって寄り添う波を見つめて 深呼吸してちょっと黙って

「うまくやっていこう」右へ左へ

繋いだこの手 力入る

 

こんな夜には暖かい ココアに2人包まれて

 

内緒でキスしよう 分かってるね

後戻りはさせないよ 絶対秘密よ

2人のキスしよう きつく抱いて

後戻りはさせないよ そして秘密よ

 

止まらないでいて つかまえていて ずっとずっと

指を絡ませて 心繋げて 深く深く

 

内緒でキスしよう 分かってるね

後戻りは出来ないよ 絶対秘密よ

2人のキスしよう 少し苦しい

後戻りは出来ないよ 一生秘密よ

 

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こんな時言葉が邪魔だったりする 伝えたい事たくさんあるのに

目を見るのも今はすごく恥ずかしい

見ないで…全部ばれてしまうから

 

まず、歌い出しが「こんな時」

いきなりの指示語。

 

これとか、それとか、普通何か前に出てきた事柄を指す言葉じゃないですか。

それがいちばん初めに来てるんです。

 

いやいや「こんな時ってどんな時だよ」って。

 

しかもこの曲には

「わたし」とか「僕」とか一人称が出てこないので

「2人」の関係性が不明確。

 

直接的で具体的な表現を避けることで

ストーリーを完全に聴き手に委ねています。

だから、それぞれがそれぞれの想いを重ねることができます。いやあ上手い!

 

言葉もいらないような状況と関係性。

しかし抱えている想いは大きく、そしてそれを伝えたいという気持ちもある。

 

でも、これらは決してばれてはいけない気持ち。

そして「目は口ほどに物を言う」から、

どうか目を合わせないでほしい覗き込まないでほしい。

 

 

心の底を正直にあなたにいくつ言えるかな?

 

ばれたくないと思いつつ、やっぱり心の底に仕舞いかけた気持ちは

あなたに知ってほしい、伝えたい。

 

それほどに、想いは大きいんでしょう。

もう自分の中だけに仕舞っておくことはできないほどに。

 

 

内緒でキスしよう 分かってるね

後戻りは出来ないよ 絶対秘密よ

2人のキスしよう 少し苦しい

後戻りは出来ないよ 一生秘密よ

 

どうして内緒でキスなのか…

なんとなく2人の関係性が想起されます。

 

この世界には腐るほどある

許されない恋、結ばれない恋。

 

キスをしたことで2人は後戻りの出来ない共犯者となった。

いや、あなたを「共犯者にした」のかな。

自分だけ置いて行かれないように。

 

でもあなたとするキスは苦しい。

それは激しいからなのか。

あなたとするキスは胸が締め付けられるからなのか。

 

幸せなはずの時間って、ふと現実が見えることがあって。

 

例えば今あなたとキスをしていても、抱き合って愛し合っていたとしても。

ふっと、恐ろしく絶望する瞬間がありませんか。

これは夢で、永遠には続かない、もうすぐ終わる。

すぐ目の前に幸せがあるからこそ、それが消えたときが頭を過る。

 

それはやっぱり、

あなたとでは幸せになれないから。

 

秘密が繋ぎとめる関係なんて、所詮そんなもんです。

待っているのは幸せなんかじゃない。

 

 

ぶつかって寄り添う波を見つめて 深呼吸してちょっと黙って

「うまくやっていこう」右へ左へ

繋いだこの手 力入る

 

2人で肩を並べて海を見ているんでしょう。多分人気のない曇天の海。

あなたと自分を波に重ね、

ようやく覚悟を決めてあなたに言う「うまくやっていこう」

 

やっと伝えられた言葉は、2人の未来の話。

でもきっと、

「うまくばれないようにやっていこう」

「今のままで良いから関係を壊したくない」

そんな祈りのような、ネガティブな願い。

 

拒絶と破綻に怯え

思わず手に力が入ってしまうほど緊張して絞り出した一言に、

「あなた」は何て返してくれたんでしょうね。

 

 

こんな夜には暖かいココアに2人包まれて

 

「こんな夜ってどんなよr((…

 

世界中が冷たく敵になっても

目の前にあるココアだけはあたたかく味方になってくれる。

 

2人だけでいい。あなただけがいればいい。

あとは暖かいココアがあればいい。それで幸せ。

 

癒しの、幸せの象徴のようなココア。

 

ココアを飲むたびにこの夜のことが思い出されて

あなたがいなくなったとき、ココアなんて飲めなくなるんでしょう。

あんなに甘くて暖かかったココアが、心を抉る刃になる。

だから、未来の無い関係なら思い出なんて作らないほうが良いのに。

 

 

内緒でキスしよう 分かってるね

後戻りはさせないよ 絶対秘密よ

2人のキスしよう きつく抱いて

後戻りはさせないよ そして秘密よ

 

2番のサビです。

1番では「後戻りは出来ないよ」だったのに

「後戻りはさせないよ」に変わってます。

 

さっきまでは秘密を共有する共犯者だったのが

あなたに縋る情けない姿が想像できます。

 

そしてどうか、きつく抱いてほしい。

何もかも忘れるくらいに。

他のことなんて考えられないように今はあなたでいっぱいにしてほしい。

 

2人の関係性がちょっとずつ変わってきているのかなと感じられます。

 

 

止まらないでいて つかまえていて ずっとずっと

指を絡ませて 心繋げて 深く深く

 

自分はこんなにあなたを想っているけど、

あなたが立ち止まったら終わってしまう

あなたにはなされたら終わってしまう

そんな脆い関係でしかない。だからあなたに願い続ける。

それを声に出して伝えることはないけれど。

 

身体だけじゃなくて、本当は心の深い繋がりが欲しい。

しかしどれだけ肌を重ねても、それは物理的なものでしかなくて。

そこに愛はない。

 

 

内緒でキスしよう 分かってるね

後戻りは出来ないよ 絶対秘密よ

2人のキスしよう 少し苦しい

後戻りは出来ないよ 一生秘密よ

 

歌詞は1番サビと同じですが、

最後に転調し、より盛り上がって終わります。

 

気持ちはより大きくなり、悲痛な叫びに聞こえます。

 

 

 

さて、今回の解釈は

「2人は結ばれない関係で、あなたへの一方通行の想いを抱えている」としましたが、

もっといろんな解釈ができる曲だと思います。

 

「2人は両想いだけど決して一緒にはなれない、でもそれを楽しんじゃってる」

とちょっと明るい感じにも捉えることができます。

 

冒頭にも述べましたがここがこの曲の、aikoさんのすごいところ。

 

各々の境遇に合わせて物語を勝手に想像できるような抽象的な歌詞。

でも抱える想いはリアルだから、共感ができる。

 

 

このブログではこんな恋を歌う曲をよく取り上げていますが

はるの心の琴線には刺さりすぎるんですねどうも。

 

本人達からしたら、

どんな関係性であろうと想い合っていることに変わりはなく

いやたとえそれが一方的なものであろうとも

その恋心って、綺麗で純粋で無垢で

ただひたすらに「好き」という気持ちに帰結すると思うんです。

 

結ばれないと、結ばれてはいけないとわかっていても

でもだからといって芽生えた恋心をどうにかできるわけでもなく、

辛くなることはわかっているのに苦しい想いをするのは自分なのに

その恋心を抱え続けることしかできない…

 

それだけでもう涙腺ゆるゆるのわたしは泣けてきます。

 

これはあくまで持論なので、

「何言ってんだこのやろー」と思う方も当然いるかと思います。

むしろそれが良識というもので、美談化するのは良くないですが。

 

 

ばれないようにやったらいいじゃない。

それで本人たちがいいのなら。

 

ココアで幸せになれる関係なんて、お手軽でいいじゃない。

 

でもどうか、この曲の主人公に

また幸せな気持ちでココアを飲める日が来てほしい。

 

「あんなこともあったな」って笑いながら

ココアと一緒に思い出も飲み込める日が来てほしい。

 

苦い思い出じゃなくて、甘い幻だったなって。

コーヒーじゃなくて、ココアなんだから。

 

 

一瞬の夢に魅せられただけ。

 

たまにはいいでしょ、道をちょっと踏み外すくらい。

 

秘密のひとつやふたつ、共犯者のひとりやふたり。

 

 

誰だってあるんじゃないですか。

 

ココアの甘さに浸りながら、ひとり物思いに耽る夜も。